銀(ぎん、英:silver、羅:argentum)は原子番号47の元素で元素記号は Ag。貴金属の一種です。
元素記号の Ag は、ラテン語での名称 argentum に由来します。
室温における電気伝導率と熱伝導率、可視光線の反射率は、いずれも金属中で最大で、光の反射率が可視領域にわたって98 %程度と高いことから美しい金属光沢を有し、大和言葉では「しろがね/しろかね(白銀: 白い金属)」と呼ばれました。
延性および展性に富み、その性質は金に次ぎ、1 gの銀は約2200mの線に伸ばすことが可能です。
溶融銀は973 °Cにおいて1気圧の酸素と接触すると、その体積の20.28倍の酸素を吸収し、凝固の際に吸収した酸素を放出し表面がアバタとなる spitting と呼ばれる現象を起こします。純銀の鋳造はこれを防止するために酸素を遮断した状態で行います。
貴金属の中では比較的化学変化しやすく、空気中に硫黄化合物(自動車の排ガスや温泉地の硫化水素など)が含まれていると、表面に硫化物 Ag2S が生成し黒ずんできます。
銀が古くから支配階級や富裕階級に食器材料として用いられてきた理由の一つは、硫黄化合物やヒ素化合物などの毒を混入された場合に、化学変化による変色でいち早く異変を察知できる性質からという説があります。
銀イオンはバクテリアなどに対して強い殺菌力を示すため、現在では広く抗菌剤として使用されています。
例えば抗菌加工と表示されている製品の一部に、銀化合物を使用した加工を施しているものがあります。
塩素などのハロゲンとは直接結合しハロゲン化銀を生成します。
また酸化作用のある硝酸および熱濃硫酸に溶解し銀イオンを生成します。
ただし王水には溶けにくい。また空気の存在下でシアン化ナトリウムの水溶液にもシアノ錯体を形成して溶解します。
1.展延性
金属の中では金に次いで展延性に優れ、圧延すると0.2ミクロンの銀箔に加工することができるなど加工性に優れています。
2.色
色は白銀色。可視光線に対する反射率は90%と、金属の中で最も高い。光の反射率が極めて高いことから、ラテン語では「輝くもの」(argentum、元素記号Agの由来)と呼ばれ、日本語では「しろがね」(白い金属)と呼ばれました。
3.熱線の反射率
赤外線に対する反射率は98%と、金に次いで高い。このため、銀製の鍋を用いると、銀が熱線をほとんど反射してしまうため、鍋はあまり高熱にならず、料理の焦げ付きを回避することができます。
4.熱伝導率
熱伝導率は428 W/m・K(0℃)と、金属の中で最も熱を伝えやすい。
5.電気抵抗率
電気抵抗率は1.47×10−6Ω cm(20℃)と、金属の中で最も電気を通しやすい。
6.電子ボルト(電子親和力)
銀の電子ボルトは非常に小さいため、銀の表面から電子を放出させるのに必要なエネルギーは極めて小さく、銀のこうした性質を利用して電子工業において様々な応用がなされています。
7.常温時効と合金
常温時効とは、加工硬化によって強度を高めた銀を常温で放置すると、再結晶し、強度が低下(軟化)する性質をいいます。
しかし、銀は多くの金属と優秀な合金を作ることができ、合金にすることで常温時効という欠点を補うことができます。
1.硫化作用
銀は、大気の水分中のオゾンや空気中の亜硫酸ガスや硫化水素と反応して、表面に硫化銀を作り(硫化)、黒く変色し、光沢を失っていきます。